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	<title>otoboku&#039;s Novel</title>
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	<description>ここにサブタイトルが入ります</description>
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		<title>姉の姉は従姉と偽姉（あね）</title>

		<description>それは、間もなく梅雨に入ろうかと言う、…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ それは、間もなく梅雨に入ろうかと言う、五月も下旬のある日の事。
週末のある日曜日、僕と初音さんは二人で街に買い物に来て居た。
　と云ってもこれは大学に入学してからのほぼ定例行事だったりする。
　一緒に過さない日を想い出すのが困難な位、僕達はいつも一緒に行動をして居て。
　初音さん曰く『毎日が千早ちゃんとの散歩でとても楽しいです♪』との事だけれど、それはまあ僕も同じな訳で。
「…っと、ここのお店でのお買い物はこれで終わりです」
　買った物と買う物リストを軽くチェックした初音さんがそう云ってきた。
「ええと、後は本屋さんでしたっけ？」
「そうですけれど、その前に何処かでお茶にしませんか？」
「ああ、そうですね。それではあちらの角のオープンカフェで休憩にしましょうか」
「はい☆」
　買い物と云う名前の散歩に繰り出して来てから既に一時間は経過して居る。
　そろそろ一息入れても良いだろうと言う事で、僕達は傍のオープンカフェに向かい歩いて行った。
　…の、だが。
「凄く混んで居ますね…」
　初音さんが目を丸くするくらいカフェの席は人で埋め尽されて居て、見たところほぼ満員という感じだった。
「…あ、初音さん、あそこが空いてますよ。行きましょう」
　丁度二人分の席が空いて居るのを見つけたので、初音さんの手を取って空いて居る席へと向かった。
　ところが、座ろうと思ってイスを引こうとした所、ほぼ同時にイスに手を伸ばして来た女性が一人。
「あ、ごめんなさい」
手を伸ばして来た女性は、僕達が二人連れだったのを見て、慌てて手を引いた。･･･の、だが。
「･･･あれ？ もしかして･･･初音?」
　彼女は初音さんの顔をちらっと見ると、目を丸くして声を掛けてきた。
「え？　…ゆ、由佳里お姉さま！？」
『お姉さま』とは、ちょっと懐かしいフレーズだなとふと思ったけど、と云う事はこの女性は聖應のＯＧなのだろうか。
「偶然ねー。元気だった？」
「ええ、おかげさまで。由佳里お姉さまも？」
「うん、相変わらずね」
　そこで由佳里さんは僕の方をちらりと見た。
　何となく、軽く会釈をしてしまう。
「…ところで初音、もしかして散歩の途中だったりした？」
「はい、散歩中です♪」
　満面の笑みでそう答える初音さん。
「あははは。ま、折角の散歩中なら邪魔しちゃ悪いわね。また今度ゆっくりとお茶でもしましょう」
　そう云って、由佳里さんは軽く手を振って立ち去ろうとした。
　ところが。
「あ、それでしたら、私達も一息入れようと思っていた所ですし、由佳里お姉さまもご一緒に如何ですか？」
　初音さんはそう云って由佳里さんを引き止めた。
「え？　でも、散歩中なんでしょ？　邪魔しちゃ悪いし…」
「別に悪くなんか無いですよ。私も久しぶりに由佳里お姉さまとお顔を合わせたのですから、お話もしたいですし」
　そう云って、初音さんはちらっと僕の方を見た。
「良いですよね、千早ちゃん？」「ええ、構いませんよ」
　初音さんと付き合い始めて以来、この手の事にはもうすっかり馴れて居たので、一も二もなく頷いた。
「だそうですよ。如何ですか、由佳里お姉さま？」
「あははは。何かそう云う所、初音は昔と全然変わり無いわね」
　少し呆れたような、それでも嬉しそうな感じで由佳里さんはそう云うと。
「じゃ、悪いけどお邪魔させて貰うわね」
「はい♪」
　せっかくなのでと、三人で話が出来る喫茶店へと移動した。
「しかし、『あの』薫子にねフィアンセが出来てるとはねぇ………」
　由佳里さんは、初音さんの方を見て何やら意味ありげな笑いを浮かべながら、そんな事を云った。
「一年も会わないうちにまた一段と逞しくなっちゃって」
「それはもう、色々ありましたから。ね、千早ちゃん？」
「え？　え、ええ、そうですね…」
　突然話を振られて、僕はそう答えた。
　と云うか、去年一年間で考えると色々あったのは寧ろ僕の方なんだけどね。
「…っとそう云えば、すっかり薫子さんのフィアンセを置き去りにしちゃったわね。ごめんなさいね」
「いえ、構いませんよ。積もるお話もあるでしょうから」
　僕はそう云って微笑み返す。
　この場合、邪魔なのはむしろ僕なんじゃないかなと思える訳なんだけれど。
「そう云えば自己紹介が未だだったわね。私は上岡由佳里。初音の高校での１年先輩に当たるの。よろしくね」
「御門千早と云います。こちらこそ宜しくお願いします」
　僕はそう自己紹介をして、軽く頭を下げた。
　…ところが。
「え………みかど？」
　僕の名前を聞いた由佳里さんは、何やら驚いた表情をして居る。
「？　ええ、御門です」
　何だろう、何かおかしい事を僕は云ったのだろうか？
　とは云っても普通に自己紹介をしただけだし、自分の発言で失言が有った様には思えない。
　…と思って居ると。
「えっと、千早さんって云ったっけ」
「はい、何でしょうか？」
「その、間違ってたら申し訳ないんだけれど…もしかして姉弟か従姉弟に『御門まりや』って人、居ない？」
「…ああ」
　そう云えばまりや従姉さんも聖鷹のＯＧだったっけ。
「ええ、居ますよ。僕から見るとまりや従姉さんは『従姉弟のお姉さん』に当たります」
「やっぱりそうなんだ！　珍しい名字だからそうかなって思ったんだけどね。
…でもまさか、まりやお姉さまの血縁の人が薫子さんのフィアンセとはねえ…」
「由佳里さんは、まりや従姉さんの事をご存じなのですか？」
「ええ。高校時代の、寮の先輩だったのよ。私が一年生の時の三年生でねー」
　…そう言えば聖應に居た当時、そんな話があったなと朧気に想い出した。
　と言う事は、初音さんの寮での姉が由佳里さんで、その姉がまりや従姉さんで、と云う繋がりになる訳で。
　何とも不思議な縁だなあと、ふと思ってしまった。
「なるほど、そうでしたか」
「確かアメリカに留学してる筈だけど、元気にしてるかなあ？」
「ああ…えっと、従姉弟と云いましても、僕の家は御門の分家でまりや従姉さんは本家筋に当たりますので、
正直云いますと余り接点が無いと云いますか…」
　そもそも去年一年間は僕も聖應にいたから、親戚から姿眩ましていたからね。
「そっかぁ。…ま、まりやお姉さまの事だから、元気でやってるとは思うけどね」
　そう云って、由佳里さんはうんうんと頷いていた。
「千早ちゃんって、由佳里お姉さまのお姉さまと従姉弟だったのですね。
云われて見れば名字が一緒だった事に今気がつきました」
　横で話を聞いていた初音さんが、そんな事を云ってきた。
「まあ、云ってませんでしたしね」
　そもそも今の今までその事すら忘れていた位だし。
「これでもし千早ちゃんが瑞穂お姉さまともお知り合いだったら、偶然とは云え凄いですね」
　と、そこで初音さんがそんな事を云い出した。
　…話の流れからその名前も出てくるんじゃないかとは、半ば予想はしていたけれど。
「え？　…そう云えば、千早さんは『御門』って事は、もしかして…」
　その反応で、何となく由佳里さんが云いたい事が解ってしまった。
「ええ。『宮小路』瑞穂さんも僕から見ると『従姉弟』のお姉さんに当たりますよ」
　恐らく由佳里さんは瑞穂さんの正体を知っていて、初音さんは知らないのだろう。
　そんな気がしたので、僕はそう答えた。
　ついでに、初音さんには見えない様に由佳里さんにウインクをする。
「………」　一瞬、由佳里さんはあっけにとられた様な顔をしたけれど。
「…そっか、千早さんは瑞穂お姉さまとも従姉弟なんだ。ここまで来ると偶然とは云え凄いわね」
　そう云って頷いてくれた。
　で、初音さんがちょっとお手洗いに行った時に。
「…ね、千早さん。瑞穂さんの事、初音にはまだ話してないの？」
　由佳里さんにそんな事を聞かれた。
「ええ。特に聞かれても居ませんでしたので」
　そのうち機会があれば話そうとは思うけれど、今は未だその時では無いのだろう。
「…そっか。もしかしたら、そのうち話す事になるのかもしれないわね」
「そうですね。『その時』が来たら、改めてお話ししようと思います」
「………うん」　そう云って、由佳里さんは頷いていた。
（やれやれ…この借りは高いですよ、『瑞穂お姉さま』？）
　この場には居ない従兄弟に向かって、思わず僕は心の中でそうつぶやいた。
　そんな様子が少し可笑しくて、思わず笑みが零れる。
「千早ちゃん、私が居ない時に何か由佳里お姉さまとお話をしていたのですか？」
　由佳里さんと別れて本屋へと向かう道すがら、初音さんにそんな事を聞かれた。
「ええ。瑞穂さんのお話をちょっと聞かれましたので」
「そうでしたか」　それを聞いた初音さんは、何やら嬉しそうに微笑んでいた。
（瑞穂さんの事を初音さんに話す時には、由佳里さんにも僕の事を話さなきゃならないのかな）
　ふとそんな考えが頭をよぎる。
（…まあ、それも『その時』で良いか）
　瑞穂さんの事を受け入れていた由佳里さんの事だ。
　僕の事を話しても、多分受け入れてくれるのだろう。
　確証は無いけれど、何となくそんな気がしていた。
「…ふーん。あの子が『御門』千早、ねえ………」
　初音達と別れた帰り道。
　由佳里はそんな事をつぶやいた。
　手にした携帯の画面には、一年前の日付のメール。
『由佳里お姉さま、今年は新入生が二人と、転入生一人、その転入生のお付きさんが一人寮に入ってきました。
　特にその転入生なのですけれど、『妃宮千早』ちゃんって云って、髪が銀色で凄く美人さんなんですよ――』
「確かに『美人』だったわね」
　そう云って由佳里はクスクスと笑う。
「ま、今日の事に免じて、今はまだ黙って置いてあげましょうか。
…瑞穂さんとまりやお姉さまにこの事話したら、どんな顔するかなあ」
多分予想通りなんだろうなあと考えつつ、由佳里は本当に楽しそうに微笑んでいた――。
薫子も遣る事遣って、結婚式の招待状は 来ない訳は無い筈。 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-10-11T14:47:48+09:00</dc:date>
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		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
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		<title>結婚式、第2部</title>

		<description>深緑が太陽の日差しを浴びて光っている。…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 深緑が太陽の日差しを浴びて光っている。木々や動物たちも活発になってきた。そんな夏の薫りが漂い始める６月初頭のお話。
恋人たちが愛を誓い合う、ジューンブライドとも呼ばれる６月に、例に漏れず結ばれた二人がいた。
　今日は御門千早と御門薫子の結婚式が執り行われ、現在、式も佳境を迎えている。
 　式が無事に終了したと一息ついていた僕は薫子さんに呼ばれて控え室に来ていた。
そして僕は唖然と立ち尽くしていた。
「薫子さん、まさか……」
「そりゃ、千早も着ないともったいないもん」
　目の前にあるのは、先ほどまで薫子さんが着ていたウエディングドレスだった。
薫子さんの提案は、僕がウエディングドレスを着て、再度式を執り行うこと。
そのために、一部の出席者には残ってもらっているそうだ。
「僕は着ませんよ」
　試しに聞いてみる。
「着ないと離婚するよ」
　薫子さんの答えに迷いはなかった。
「千早くん。早くここに座りなさい」
　僕の従姉で、日本を代表するようなカリスマファッションデザイナーとなったまりや従姉さんが、化粧道具を持って僕の行く手を阻んでいた。
「……はい」
　そう答えるしかなかった。
「瑞穂ちゃんもそうだけど、ホントにアンタも女泣かせの容姿よね」
「……はぁ」
　そんなことを云われても嬉しくないことぐらい、まりや従姉さんは承知なのだろう。
　瑞穂さんも大変だな。
「千早はまりやお姉さまには渡しませんよ」
　薫子さんも、変なところに突っ込まないで、フォローの一つくらい入れてほしい。
「あたしには瑞穂ちゃんがいるから大丈夫」
　こんな会話を聞いていて、本当に恐ろしくなる。
　瑞穂さんというのは、まりや従姉さんの従姉にあたり僕にとっては再従兄にあたる人物だ。
　瑞穂さんも、十条紫苑さんと結婚している。
　僕は女装して通わされた聖應女学院を卒業して以来、僕と似た境遇の瑞穂さんとも良く逢うようになり、今では瑞穂さんと普段から飲みに行くほど親密になっている。
　瑞穂さんは大学の先輩でもあるのだが、一番のよき理解者なのだ。
　それはもう、女装やらエルダーやら何やら、話題も尽きないし、話が合いすぎてお互い吹き出してしまったほどだ。
「ところで、なんで薫子さんがまだここにいるのですか」
「それは、薫子ちゃんがどうしてもって云うからね」
「千早の着替えをまりやさんに任せるわけにはいかないでしょ。千早は男なんだし……」
　ああ、それで薫子さんはここにいるのか。
「まぁ、それはそうですけど……さすがに薫子さんではウエディングドレスの着付けは……」
「着付けは練習したもん」
　薫子さんに泣きそうな顔で訴えられると最早僕では断れない。
「千早くんはちゃんと花嫁姿で愛する薫子ちゃんと逢いたいのよね。わかるわ、千早くんの乙女心」
　僕は単に女装をするために着替えている姿を薫子さんに見られたくないだけで……。というか、まりや従姉さんの不気味な笑顔が怖い。
「まりや姉さんに僕の気持ちがわかってたまりますか」
　瑞穂さんならわかってくれると思うけど……。
「はい。化粧は終わったわ。後は薫子ちゃん、よろしく」
　そう云ってまりや従姉さんは、部屋を去っていった。
　僕と薫子さんだけが部屋に取り残されて、微妙な空気が漂っていた。
「ごめんね、千早」
「謝るならこんな計画的犯行に及んでいませんよね」　ささやかな反抗を試みるが……。
「嫌だもん。千早のウェディングドレス姿を見たいも～ん」
　薫子さんは開き直っていた。
「……はぁ。薫子さんは、結局僕が折れることを知っていてやっているのですから質が悪いですよね」
「なんだかんだ云って千早も着たいんでしょ？女装癖持ちの変態さん」
　さすがに今の薫子さんの発言には腹が立った。
「着ませんよ」
「そしたら離婚するもん」
　ただ、僕には為す術がなかった。
「理不尽だ……」
　完全に薫子さんの尻に敷かれている気がする。
「はい、これ……」
「薫子さん……これは？」
　薫子さんが渡してきたものを見て僕の頭は真っ白になった。
「あたしがさっきまで履いてた下着……」
「なるほど、薫子さんの下着……って、ちょっと待ってください！」
　真っ白で可愛らしい純白のショーツは、まだ生温かい。
「やっぱりダメかな？」
「ダメに決まっているでしょう。それにさっきまで履いてたって……」
「うん。すっかり下着のこと忘れてて……。さっき慌てて脱いだの。
　やっぱりウェディングドレスにトランクスはまずいでしょ？」
「そうですけど、何も薫子さんの下着をつけることはないです。それに薫子さんはどうするつもりですか」
「千早のタキシードを着るから千早の下着で大丈夫だよ」
「……はい？」
「「………………」」
　ちょっと薫子さんの云っていることがよく分からない。
「服、交換しよ」
「ちょっと待ってください！」
　僕は全力で説得しようと頑張った。しかし、結局薫子さんと服を全交換することになったのだった。
「よし完成！うん、千早可愛いよ」
　鏡を見ると、紛れもなく美女に成り代わった僕の姿があった。
「……はぁ、これどこから見ても花嫁ですね」
「本当だよねー。あたしなんか、どう頑張ってもコスプレにしか見えないのに」
　そんなことを云う薫子さんが可笑しくてつい笑みが零れてしまった。
「ふふっ、薫子さんも格好いいですよ」
　僕がそう云うと薫子さんは呆れ顔になった。
「……千早、あたしを褒めるのがどういうことかわかってる？」
「…………………」
「わかってなかったのね」
　そういえば、さっき『薫子さんも』とか云わなかった？もしかして、僕は自身の女装を当たり前に思っているんじゃ………。
「帰っていいですか」
「だめ」
　とりあえず、ウエディングドレスを着たまま膝をついて落ち込むしかなかった。
「はぁ……どうしてこんなことに……」
　僕はタキシードに身を包んだ凛々しい薫子さんに手を引かれて、バージンロードを一歩一歩進んでいた。
「聖應に転入した千早が悪いんだから」
　僕にしか聞こえない声で薫子さんはそう呟いた。
「でも、悪くないでしょ？」
「そうですね。僕が女装して聖應女学院に転入しなければ、こうして薫子さんと結ばれることもなかったのですから」
「そういうこと」
　一歩一歩、聖應での思い出を振り返りながら、二人手を繋いで前に進んだ。
　シスター姿の緋紗子先生が、司式者をしてくれていた。そして、ついにその時がやってくる。
「では、誓いのキスを」
「………千早」
「……んっ」
　薫子さんが僕の額にかかったレースを上げて、顔を近づけてきた。
　先程僕が薫子さんにしたのと同じ仕草なのに、キスをされる側になると妙に緊張してしまう。
　僕はそんな緊張に耐え切れず、思わず目を閉じてしまう。ドキドキと鼓動が早まる。
　そして、僕たちの唇は重なり合った。
「薫子さん、これで満足ですか」
「うん！満足」
　僕の花嫁姿で皆が見たがっていた一通りの儀式を終えて、僕たちは再び控え室に戻っていた。
「それならよかったです。しかし、香織里さんとまりや従姉さんのはしゃぎっぷりには驚きましたよ」
「あの二人、凄く気が合ってたよね」
　本当に、聖應女学院の関係者さんは、皆が全力で僕のウエディングドレス姿を楽しんでいた。
　瑞穂さんだけは、少し心配してくれていたけど。
「千早、あたしわかったよ」
　薫子さんが唐突にそんなことを云った。
「何をですか」
　僕はそう聞き返して……。
「これがあたしたちなんだってこと」
　薫子さんはそう答えた。
「そうですね。あの頃と変わらない皆さんがいて、僕たちがいる。僕と薫子さんは結婚しますけど、何かが変わるってことでもないのかもしれません」
　そう。僕たちの絆は決して弱まることはない。そう実感できた式だった。
「うん。でもね、変わったこともあるよ」
　薫子さんは嬉しそうにそう云うので、僕はまた聞き返した。
「それは何ですか」
　薫子さんはぽんぽんぽんっと前に進み、僕のほうに振り返った。
「それはね。誓いのキスだよ」
　前を行く薫子さんに追い付くと薫子さんは続けて云った。
「千早、もう離さないよ」
「それは僕の台詞です。薫子さん」
　そして僕たちは、今日三度目の口付けを交わした。
　さて、閉式後の話。
「千早くん……僕の結婚式でも、同じことをやったんだ」
「瑞穂さんもですか……」
「うん。千早くんたちが帰ってから、親族と聖應関係者だけでやったから」
「その時の写真か何かは」
「これ……」
「「……………………」」
「お互い大変ですね」
「そうだね」
　友情を深め合う、瑞穂と千早であった。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
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		<title>姫と王子</title>

		<description>姫と王子

「茉清さん、今お帰りですか…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 姫と王子

「茉清さん、今お帰りですか？」

放課後、暇を持て余した私は図書室で読書をした後、帰路に着いていた。

「聖さんか。私に何か用かな」

私が人から声を掛けられるのは珍しい。

「いえ、特別な用があるわけではないのですけれど、茉清さんと帰りたいなと思いまして」

「構わないけれど、面白いことは何もないわよ」

「そんなことまったく全然ないです！わたしは茉清さんとご一緒できるだけで楽しいですから！」

そう云って聖さんに笑顔で返されてしまった。馴れないことに戸惑ってしまう。

「なら、帰ろうか」

素っ気なく私はそう云って歩きだす、聖さんはそんな私の後ろから少し早足になりながらついてくる。

「少し早いみたいね」

「あっ、いえそのようなことは……その……少し」

「そうね。少し緩めるわ」

聖さんの可愛らしい様子に思わず口元まで弛んでしまう。

「茉清さん、笑いましたね？」

「全く、聖さんには敵わないわね」

「話を逸らさないでください」

私は本当に変わってしまったなと思う。人と話すのが苦手な私は、独りでいたいと集団を避け、気がつけば孤高の王子と呼ばれるようになっていた。

「人の出逢いって不思議よね」

「そうですね。本当に不思議です」

そんな私が、高等部に進学してすぐに、溜め息を吐く外部編入生を目にして、好奇心故に声を掛けた。きっとそれが私にとっての転機だった。薫子さんとの出逢いが。

「でも出逢いってすごく素敵なことだと思います」

「……本当にそうね」

薫子さんとの出逢いから二年後の同じ日の出来事だった。溜め息を吐く転校生に私は声を掛けた。笑いがこみあげてくるほど見たことのある光景だった。彼女は妃宮千早と名乗った。

「あのさ、聖さん……」

「あのっ、茉清さん……」

薫子さん、千早さんと親しくなるにつれて、もう一人の少女とも親しくなっていった。私のクラスの受付嬢の聖さん。最初はただ共通の友人を持つ知り合い程度だった。

「あっ、ごめん」

「いえっ、その……私こそ」

中間試験で私が聖さんに勉強を教えてから、私は聖さんを意識するようになった。明るく、誰にでも優しく接する聖さん。彼女は私にとって、眩しすぎる存在だった。そして、先週の事件が起こった。私のファンクラブとやらの下級生が、聖さんの机に画鋲を仕組み聖さんが怪我をした。次の瞬間には、私は怪我をした聖さんの手を引き、急いで救護室に向かっていた。今思えば聖さんもたいした怪我をしたわけでもなかった。おそらく聖さんでなければ、私も慌てて救護室に連れていくなんてことはしなかったと思う。

「聖さんの話を聞くわ。私の話より大事そうだから」

「……はい。あのっ、茉清さん」

　孤高を貫く王子様。誰にでも優しく笑顔が素敵なお姫様。聖應女学院というお嬢様が通う箱庭で、私たちは出会い、そして友達となった。私はきっと、あの時の聖さんの言葉を生涯忘れることはないだろう。

『そんな茉清さんは、私にとっては、ちょっとぶっきらぼうで気難しいですけれど……優しい、大切なお友だちなんです』

　それ以来、聖さんに会うとどうしても意識してしまう。

「今日から一緒に帰りませんか？」

「えっ？」

予想だにしない聖さんの言葉に思わず声が漏れてしまった。私の反応に、聖さんは動揺してしまっている。

「あのっ…やっぱりそのっ」

「もちろん、いいわよ」

「……はい？」

今度は聖さんが固まってしまった。

「そんなことで緊張しないで欲しいな」

「えっと、茉清さん？」

私は心のどこかで孤高でいなければならないと意固地になっていたのかもしれない。しかし、もうその必要もない。私には大切な友人がいるのだから。

「聖さんは私からお願いしたいことをいつも先に云ってしまうから。私からのお願いも聞いてもらおうかな、聖さん」

「ま、茉清さん……はい、喜んで！」

「いや、まだ何も云ってないのだけれど……」

思わず笑ってしまう。本当に聖さんを見ていると癒される。

「ちょっとしたツテで今週の土曜日に上演されるミュージカルのペアチケットを貰ったのよ。本当は一人で行こうと思っていたのだけれど、折角だから聖さんと一緒に行きたいなと思って……」

私がそう云った瞬間………。

「行きます！絶対行きますから、茉清さん一人で行ったらダメです！私、茉清さんを恨んでしまいます」

私の手を両手でがっしり握って上下に揺らしながら真剣な眼差しで聖さんが見つめてきた。

「聖さんって、そんなにミュージカルが好きなの？」

「あっ…あの、ミュージカルは初めてです。茉清さんが一人でなんておっしゃるからつい……」

もうだめだ、聖さんが可愛すぎる。

「聖さんが私の単独行動を許してくれなかったら、私が築いた孤高な王子の称号が形無しよね」

「大丈夫です。茉清さんは私の王子さまですから」

聖さんはそう云ってから慌てて口を手で抑えた。聖さんの頬は紅潮している。

「とりあえず、土曜日は予定を空けておいてくれると嬉しいわ」

私も照れ隠しに話を逸らしてしまう。

「はい。楽しみにしていますね」

少しぎくしゃくしてしまったが、私たちは自然と手を繋いで歩きだした。他愛ない会話をして笑い合う。そんな当たり前の行為が私にとって何物にも代えがたい幸せだった。

私は急いでいました。それはもう、全力で。

「まさかこんな時間になるなんて」

集合時間の5時間前には起きていたのです。お菓子を作って、弟たちのご飯を用意して家を出れば悠々と間に合うはずだったのです。それなのに、弟たちが起きてきまして……

『あれ、お姉ちゃん今日出かけるの？』

　と三男に聞かれましたら……

『珍しいね。あっ姉さんもしかしてデートでしょ』

　と長男が云いまして……

『デート、デート、姉ちゃんがデート！』

と次男がまくし立てますと……

『うわーん。お姉ちゃんが取られた～』

と三男が泣き出したのです。

正直図星だったので、すっごく焦ってしまい、その動揺を長男が悟ってしまったようです。もう説得するのが本当に大変で、三男は私にしがみついて泣いてるし、次男と長男は『女の子の友達と遊ぶだけよ』と言っても納得しないし、結局説得に3時間もかかってしまいました。

それで、家を出たのが約束の30分前。電車を降りた時点で既に3分の遅刻です。メールを送ったので、茉清さんがいないことはないと思うのですが心配になってしまいます。

改札を出て駅前広場に着くと、ベンチに座って本を読んでいる茉清さんがいました。

「茉清さん、お待たせして申し訳ありません」

「ふふっ、まさか聖さんが遅刻するとは思わなかったな」

私の予想とは反して茉清さんは笑っていました。

「茉清さん、怒っていませんか？」

「あら、どうして？」

恐る恐る、私は茉清さんの顔を見上げました。茉清さんとの大事な約束の日に、人生初めての遅刻をしてしまうなんて、情けなくて私は泣き出しそうになっていました。

「このまま聖さんに泣かれてしまうと、私は大悪党になってしまうわね」

茉清さんにそう云われて周りを見ますと、皆さんが私たちに注目していました。

「ご、ごめんなさい」

「謝る必要はないわ。びくびくっと体を震わせている可愛い聖さんが見れたのだから」

笑顔の茉清さんにそう云われてしまいまして、私は為す術もなく顔を赤くしてしまいました。

「さぁ、行こうか」

茉清さんが優しく私の手を握ってくださいまして、私のペースに合わせてゆっくりと歩きはじめたのでした。

どうやら聖さんは、遅刻したことで相当落ち込んでいるようだ。いつも笑顔で明るい聖さんが、下を向いてとぼとぼとついてくる様子に、不謹慎にも私は笑ってしまった。

「ふふっ、もしかして聖さんって今まで遅刻したことがないのではないかしら？」

「……は、はい。不覚にも、こんな大事な日にしてしまいましたが……」

「そんなに落ち込む必要はないわ。むしろ、聖さんと私にとって印象深い日になりそうで、喜んでいるくらいだから」

「それなら安心ですけど……」

そう云って聖さんはやっとこちらを見てくれた。

「聖さん……可愛い」

「茉清さん、私すっごく照れ屋さんなんで、あんまり変なこと云われますと困っちゃいます」

なんとか聖さんも笑顔に戻ってくれたみたいだ。

さて、劇場に到着した。チケットをくれたのが薫子さんなだけに、ちょっと釈然としないが、開き直って大切な友達との時間を楽しみたいと思っている自分に気付いて思わず笑みがこぼれてしまった。

「聖應女学院短期大学演劇部ですか……演目は、『夕陽のあたる教室』みたいですね」

「あら、その話って梶浦先生が書いたと噂の小説ではなかったかしら」

　最近学院で噂になっていたので私もその小説を知っていた。実は、駅前で聖さんを待っている間に呼んでいた本も『夕陽のあたる教室』だった。薫子さんが心底感動したらしく、執拗に薦めてくるので仕方なく読み始めたのだけれど、内容が内容だけに無視できない小説だった。実は、既に二順している。

「そうなんですよ。私も先日薫子さんにお薦めしていただきまして、読んだのです。恥ずかしながら私、小説を読み終わって泣いてしまいまして……自分の部屋で読んでいたので良かったですけど、学校で読んでいたらと思うと危ないところでした」

　どうやら薫子さんに振り回されたのは私だけではないようだ。

「そう云えば、茉清さんは今日の演目を知らなかったのですか」

「え、ええ。実は、そのチケットは薫子さんが私にくれたものなのよ。今度駅前の劇場で上演されるミュージカルのチケットだから、聖さんと必ず行ってねって無理やり」

「ふふっ、ツテって薫子さんのことだったのですね」

「ええ。しかし、薫子さんはこれのどこがミュージカルだと思ったのかしら」

「薫子さんらしくて可愛らしい間違いじゃありませんか」

「そうね」

　今回上演された劇は、主演が周防院奏お姉さまと鷲尾緑お姉さまだった。原作の世界観のままに洗練された脚本で、お姉さま方の迫真の演技も相まって、感動的なフィナーレを迎えた。劇が終わった後、隣の聖さんを見ると、ハンカチで涙を拭っていた。

「演目を聞いたときに覚悟はしていましたが、感動のあまり涙を流してしまいました。今日の私はいいとこなしですね」

「そんなことはないと思うな。私も心を動かされたから」

「茉清さんもですか？」

　劇場からの帰り道、私たちは喫茶店に立ち寄ってお話をしていました。

「ええ。どうも、他人事には思えなくてね」

「あっ……その感覚、わかります。ついつい、私も自分と茉清さんを二人に投影してしまって……」

「……聖さん」

　今しがたの自身の発言を思い出して、私の顔は真っ赤に染まってしまいました。

「ひゃうっ……私、何を云ってるのでしょう」

　茉清さんの方を見ると、非常に困った顔をしていました。

「嬉しいな。聖さんも私と同じ考えだったみたいで」

　ふいに、笑顔で茉清さんが信じられない言葉を私にかけてくださったのです。

「あの、茉清さん？」

　気づくと茉清さんは隣の席に座る私の手を握っていました。

「聖さん……本当にありがとう。私の友達になってくれて」

「茉清さん……」

　私は茉清さんの手を強く握りかえしました。

「私の方こそ、茉清さんとお友だちになれて嬉しかったのです。ですから、ありがとうございます、茉清さん」

「聖さん……」

　茉清さんと目が合って、二人とも笑みがこぼれました。

「これからもずっとずっとお友だちですから」

「ええ。ずっとずっとね」
 ]]>
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		<title>星を継ぐもの</title>

		<description>　星を継ぐもの
「ふいぃ、なんとか落ち…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　星を継ぐもの
「ふいぃ、なんとか落ち着いたあ」
 　『生徒会企画エルダー主演劇成功おめでとう』と白チョークで大書された黒板を見上げて、七々原薫子が大きなため息をつく。
そんな薫子に
「おつかれさまでした。薫子さん」
と声をかけて、妃宮千早が紙コップを渡す。
半分ほど注がれたお茶は薫子の喉の渇きを気遣ったのではなく
「飲み物ありますからご心配なく」というサインのためらしい。
 　注がれたジュースを促されるままに飲み干して、お腹に小さな池でも出来たような気分になっていた薫子は
「うう。あたしもそうすればよかった」と愚痴りながらも、礼を言ってコップを受け取った。
 　本日――創造祭から数日後の週末。生徒会主催企画参加者の有志を集めて、演劇成功を祝って打ち上げが行われた。
　とはいえ飲めや歌えのどんちゃんさわぎではない。
聖應女学院の女学生にふさわしくジュースやお菓子を持ち寄ってのお茶会であり、
どちらかといえば、演劇部や放送部から出向したり兼任したりで協力してくれた大道具小道具や照明音響などの裏方に対して、
生徒会からの慰労の意味が大きい。
「気配りと人望」の初音会長ならではのイベントで、諸部門の裏方以外に、千早と薫子のクラスメイトである３－Ｃの面々も招待されている。
　となれば、四人の生徒会役員はもちろん、主演女優たる二人のエルダーもホスト役。
薫子などは感謝の意味を込めて「がんばってもてなすぞ」
と気合いも入れていたのだが、始まって早々に逆に参加者が争ってお菓子やジュースをもって周囲に群がり、
雨のように降り注ぐ感謝と賞賛の言葉で、何が何だかわからなくなった。
　……ようやく場が落ち着き、それぞれにまとまって歓談できるようになったのは、会長の開会宣言後２０分が経過した後のことである。　
 　とはいえ、力尽きているのはダブルエルダーの１人だけで、もう１人の方は要領よくかつ優雅に立ち居振る舞って
（少なくとも外見的には）全くダメージは感じられない。
 　さらに生徒会長として今回の企画の総責任者の立場にある初音は、今も演劇部副部長の水沢玲香と連れだって、
精力的に裏方や下級生のテーブルを回っている。
玲香に参加者を紹介され、役割の説明を受けて、裏方の仕事の重要性に頷き、仕事を褒め、苦労を労い、一人一人に感謝して握手をする。
……などということを繰り返している。
 「すごいな―と思うんだよね。初音のああいうところ」
　遠目に親友の後ろ姿を追いながら、薫子が言った。
「計算じゃなくて、素でやってるんだから尚更すごいと思うんだよ」
「そうですね」
　千早も薫子の言葉に頷き、心の中で思う。
　もしも、学園祭がエルダー選挙の前にあったら、きっと聖應女学生の鑑（かがみ）たる『エルダー』は自分などよりも……
「まさかとはおもうけど。『エルダーには初音会長がふさわしい』なんて、思ってるんじゃないだろうね？　千早さん」
「え？」
 　まるで、心の中をのぞき込まれたかのようなその『言葉』に千早は思わず背後を振り返った。
　そこには真行寺茉清の瀟灑（しょうしゃ）な立ち姿があった。
　ほんの少し口元をゆがめ、銀色のフレームの奥で切れ長の目を細めている。
意地が悪そうでありながら楽しそう。
たとえるなら餌をついばむ雀を見つけた猫のよう……とは、いささか言い過ぎだろうけど。
　しかし、これはこれで珍しいことである。
気遣いにせよ悪戯心にせよ、茉清という人物は他者への働きかけが極端に少ない。極稀な例外を除けば、必要以上の事をしゃべろうとすらしない。
話しかけてもレスポンスの有無はその時の気分次第という彼女である。
 
「……そんな意外そうな顔をしないでほしいな。芝居がかったのはあやまるよ。
自分がそう感じたから、もしかしたら君たちもそうじゃないかと思ったのでね」
「たしかに、そう思っていましたから。あまりいいタイミングだったので驚きました」
と千早は茉清に苦笑を返した。
「私はいつだってこんな自分がエルダーでよいのかと引け目を感じていますし。
そうでなくとも、あの初音さんの後ろ姿をみると圧倒されてしまって。
そんなことではいけないと思いながらも、我が身の至らなさを省みずにはいられないのです」
と苦笑のまま、千早は茉清の顔を見上げる。
 　ある意味、茉清はただ独り、この件に関して千早の心境を忖度できる立場にある。否。
　　ただ一人、その『資格』があるといってよい。
　真行寺茉清こそは、四人目のエルダー候補であり、自らその席を降りて千早に得票を託した人間なのだから。
　その意味でいえば、茉清は千早が唯一弱音を吐いても（それを肯定するか否かは別にして）聞き届けねばならない人物といえる。
　妃宮千早、七々原薫子、そして真行寺茉清。
　奇しくも、といってよいだろう。この狭い教室の中に、エルダー選挙で壇上に招かれた４人が揃っていて、しかも皆瀬初音以外の３人が揃っていた。
「――で、だ」
　茉清はこほん、と咳をするようなゼスチャアを挟んで、へたり込んでいる薫子へ問いかけた。
「薫子さんはどう思う？」
「あたし？　――んーそうだねえ」
　腕組みをして、こきんと首をならし
（頭を使い出すと、途端に無防備になって地がでるのはご愛敬）薫子が言った。
「初音は凄いし、偉いし、立派だし。でも、初音だからねー。
付き合いが長すぎる所為だと思うんだけど、にこにこしながら嬉しそうに握手したり話たりしてるのみても、
あたしの場合、『ああ、初音だなー』以外の感想は出てこないんだよね」
　いかにも付き合いの長い親友同士だからこその、見解であった。
「そりゃあ、あたしに比べれば万倍エルダーらしいし。
千早や茉清さんと比べたって遜色ないとは思うけどさ。
初音のアレは『皆瀬初音生徒会長』だから――生徒会を率いてきたからこそ、できあがったもんだとおもうんだよね」
「生徒会長なればこそ、と？」
　うん。と薫子は頷いた。背筋を伸ばして、居住まいを正す。
「昔……私のお姉様がエルダーになった時に、学校新聞の号外が出てさ。その見出しが誰が考えたのか知らないけど、『櫻の園のエトワール』だったのよ」
　急に話の流れが変わる。薫子が少し考え込むようにしながら話そうとしていたので千早は黙って続きを待つことにした。
茉清は怪訝な顔をしながらも「ああ、そういえば」と相槌をうった。
「何故か『白菊の君』じゃなかったね。それで私もおぼえているんだけど」
　薫子もうん、ともう一つ頷いた。
「櫻の園というのは学生寮がいくつもあった時代に今の寮の建物が『櫻館』と呼ばれたことに因んでいて、
『エトワール』――『星』はお姉様……周防院奏様が演劇部の花形女優だったことに関係あるんだろうけど……」
　薫子は小さく吐息してから、幽かに笑った。
「その時におもったんだ。エルダーってさ。ほんとに『星』なんだよね。超新星みたいにさ。エルダー選挙の時の誕生するんだよ」
　どれほど信望をあつめようが、その瞬間までは、単なる最上級生に過ぎない。
　それが全校生徒の「乙女たるもの、かくあれかし」という羨望と期待を寄せられ集めて、やがて爆発的に誕生する。
　……場合よっては当の本人の意向すら無視して。
　銀色の巨人一族ならぬ凡人には、いささか混乱を催す事態。
　宇宙警備隊をやろうなんて風にはそうそう「開き直れる」わけはない。
「それとは反対に聖應の生徒会長は『世襲制』じゃない？　先代の卒業前に指名されて引き継ぎを承けて『生徒会長』になっていく……」
　自分自身の理想と先代の『宿題』を抱えて歩み、それを後の世代に託す。
　有能だったり元気だったりと特徴はあれども、ごく普通の生徒が、困難を一つまた一つと越えていくうちに唯一無二の『生徒会長』へと成長を遂げる。
「あたしは、さ。
初音が櫻館にやってきて、由佳里お姉様の妹になって、陸上部に入って、生徒会の書記になって、
お姉様の思いを引き継いで生徒会長になって――そんな二年間をずっと側で見てきたから、そう思うんだろうけど」 
　エルダーシスターは、エルダー選挙の結果として……全女学生の憧憬を集めて『誕生』するもの。
　聖應女学院・生徒会長は、前代を受け継いでいつしか、それにふさわしい人間へと『到達』するもの。
　その出生の違い故に、二つの『華』は並び立つ。それが聖應伝統のエルダーと生徒会長。
　櫻館での日々で出合った人々の面影を一人一人思い出しながら、薫子は心の底から宝箱を持ち上げるように、思い出をたぐった。
「あたしはね。生徒会長は初音しかありえないし、誰かが代われるものでもない、と思うんだ。
そして、初音がエルダーにふさわしいかといえば、間違いなく相応しいんだけど、
それは生徒会長という職責と歴代の願いによって、そこまで成長したのであって……仮にエルダーになったとしても、
生徒会長とエルダーの立場が相容れない時は……初音はきっと先代から――由佳里お姉様から受け継いだ
『生徒会長』であろうとするんじゃないかと思うんだよね」
　菅原君枝様なんて、生徒会長にして「かぐやの君」の二つ名をもつエルダーシスター……だったわけで、
両方全うしちゃって完璧だった物凄い人も歴代生徒会長にはいるんだけどさ、と付け足す。
「まあ、自分を完全に蚊帳の外に置いて無責任に論じてみるならば……あたしの見解はそんなトコ」
　そして、その上で、「たとえば、の話しだけどさ」と、薫子はにやりと笑った。
「そんな感じの責任感の強い真面目な生徒会長殿が『ダブルエルダー』の片割れだったら、千早の苦労はもの凄いことになったんじゃないかなー？　」
「う゛っ……」
　千早は喉の奥で唸って、言葉を飲み込んだ。
　エルダー選の時に、薫子が初音に得票を譲渡していれば起こりえた事態である。
　そして、その結果、ここまで彼女たち（他一名）が紡いできた物語は全く違う展開を見せたろう。
　もしも、あの時、あの場所で、千早の側にいるのが薫子ではなく初音だったのなら……
　そう思うと、薫子とは別のベクトルで、心強くもあり同時に苦労しそうでもあった。
 　千早が薫子に言いくるめられるという物凄く珍しい光景に茉清が目を瞬かせていると、薫子はますます調子に乗った。
　どうやら、薫子の想像の中では自分だけは気楽なポジションにいるらしい。 
「多忙な生徒会長をやった上にエルダーになるっていうなら、初音も凄まじく大変だろうから間違いなく巻き込まれるね。
まあ、あたしはきっと気楽だろうねー。わっはっはー」
　七々原薫子、我が世の春である。

「ニコニコしているけど、初音はあれで人使い荒いんだよね。
――いやいや、こき使うとかじゃないんだなー。
『気がつくとこき使われている』というか、周りにいると自然と
『頑張らなきゃ。仕事しなきゃ』って思っちゃうんだよ。あれ不思議だけど」
　けらけらと笑いながら続ける。
「本人は何にも強制とか命令とかしないんだけど、一生懸命が伝染するというのか。
気がつくと力一杯仕事してるんだよね。
そりゃもう生徒会なんてきっと物凄いことになってるし。
いや、あたしもなんやかやと手伝いはしてきたけど、由佳里お姉様の頃はまだしも、
初音の代になってからの生徒会なんてもうサービス残業上等の企業戦士ぽいんだもん。
ダブルエルダーは生徒会室に『カンヅメ』だね！」
　と、そんなことを上機嫌で話していた時
「大丈夫ですよ～」
などと、のんびりした声が薫子の背後から聞こえた。
「ぜっ――たいっにあり得ませんけど、もしもそんなことになったらー」
そして、がっし、と声の主が薫子の肩を両手で掴む。
「薫子ちゃんには昔みたいに生徒会に手伝いをしてもらいますからー」
　さらに
「……その場合、『庶務』をやってもらうのがいいでしょうね。
どうせやっかい事を見つけるか、探すか、作るかするんですから。
最初からトラブルシューターの立場にいていただいた方がまだしも全体の効率がよくなるでしょう」
――氷のように冷ややかな声が追い打ちをかける。
「お、おや？」
　薫子が振り返ると、そこには柔らかい笑顔の生徒会長と硬い笑顔の生徒会副会長がいた。
「あれ。いつから……」
「『エルダーになったら』私が人を『こき使う』ところかしらー」
　うふふふふふ。と、どこか虚ろな笑い声が響く。
「こわっ。こわいってば、初音っ……てか、いってないってば、そんなこと。ちょ、まっ、いや誤解っごかいだからー」
「うふふふふー。どんなごかいー？」
「六階の下で、四階の上の……ゴメンっ。冗談っ冗談だってばっ」
　苦し紛れの駄洒落もスルーされた薫子が、ずるずるずるーと初音に部屋の隅に引きずられていく。
 「……」
「……」
　そんな二人の様子を呆然と眺めやった後、ふと視線を戻した千早は、やはりため息とともに顔を戻した烏橘沙世子を真っ正面から向き合うことになった。
　そして、しばしそのまま、お互いの瞳をのぞき込むように向き合う。
「本当に」
　そう口火を切ったのは沙世子だった。
「初音会長が薫子さんの票を預かってエルダーになっていたら、どうなっていたのかしらね？」
　顔も視線もそらさず、千早は目を閉じ、少しの黙考の後で、目を開いた。
　沙世子の視線は千早が目を閉じる前と同じ場所に据えられたままだった。
「そうですね」
　その瞳を幽かな微笑みとともに見返して千早は言った。
「きっと日常の喧嘩や意見の対立は逃れ得なかったと思いますが……」
　沙世子が彼女自身であるように、千早は千早以外になれないが故に。
「きっと、沙世子さんと私はもう少しだけ、仲良くなっていたと思いますよ」
「そうかしら？」といぶかしげな沙世子に、
「ええ」と千早は笑って見せる。
「優しい初音会長とまっすぐな薫子庶務に見えないところで、ふたりして色々と悪巧みをするのではないかしら」
　沙世子はしばらく何もいわなかった。そしてもう動揺もしなかった。
　ただ、静かに千早を見つめ返す。普段の彼女は平静で怜悧。そして強い。
　そんな彼女は小さく息を吐いて、めがねの奥で眼を細めた。
「…………貴方と仲良くすることは金輪際ないわね」
　そういった後、「でも」と付け加えて、背を向けた。
「仲良くなければ、一緒に悪巧み出来ないわけで無し」
　くすりと笑う気配だけが肩越しに揺れる。
「緊張感漂う生徒会運営を体験されたいのであれば、どうぞ生徒会室へおいで下さい。いつでも歓迎いたしますわ。――『お姉様』」
　らしくもない芝居気を漂わせ、豪儀に言い切って、沙世子は歩み去る。
　たぶん、それはある未来における彼女の結論であり、現在においては彼女なりに可能な限り素直な『和解』の意志表示だった。
「……」
　今にして思う。あの日、舞台の上に立った四人のエルダー候補は、それぞれにエルダーたるに相応しい者たちであり――そしておそらく、それぞれにエルダーたり得ない『何か』をもつ者だったのではないだろうか。
　票の譲渡を行った者は二人、受け取った者も二人。
　その組み合わせはきっと幾通りもあった。おそらく誰か一人に決定する可能性もあった。
　その結果生み出される物語の中にはいろんな成り行きがあったろう。
　初音と薫子が苦楽を分かち合う道もあったろうし、場合によってはいかなる時も味方であった薫子と千早でさえも、袂を分かつことがあったかもしれない。
「……たとえば、か」
　そう。もっと根本的な展開として。
学院において最も早く千早の正体を看破する人物が、香織里ではなく薫子でもなくて、烏橘沙世子であったなら、どうなったろうか？
　もちろん、問答無用で全てが終わる公算が高いのだろうが。
「…………そうかな？」
　案外、千早と沙世子がそれぞれに秘密を抱え密約を交わし、それでもなお、互いの背中を預け合う道すらあったのではなかろうか。
「……って、何考えてるんだろ」　 
　どこかぎこちなく不器用な、それでも精一杯明るい笑顔で、演劇部の下級生に笑いかけている沙世子の後ろ姿を眺めながら、妃宮千早は一人つぶやき、そして、そんなとんでもなく楽天的な自分に、ほんの少し驚いた。
　一年前の自分からみれば考えられないことである。
「ふええ～　千早～　いいかげん助けてよ～」
　初音に捕まったままの薫子から、情けない「SOS」が聞こえたので、千早は笑って、立ち上がった。 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-10-10T11:28:25+09:00</dc:date>
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	<item rdf:about="https://otoboku.novel.wox.cc/entry5.html">
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		<title>埋火</title>

		<description>想い出らしい想い出なんて、抱いて生きて…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 想い出らしい想い出なんて、抱いて生きてきたつもりはなかったのに。<BR>
　どうしてか一つだけ、決して忘れることのできない顔があった。<BR>
春からの新生活は、私にどんな感慨ももたらすことはなかった。<BR>
右を見ても左を見ても、目に映るのはどこかで目にした事のある顔の子たちばかり。<BR>
聞こえてくる会話も女学院の学び舎に流れていたそれと大して変わり映えもしておらず、お嬢さま学校特有の間延びした空気は、ここでもおなじ色と匂いを漂わせているようだった。<BR>

　――私立聖應女子短期大学。<BR>

幼等部から短大までを一貫する聖應の庭の最終地点にして、箱入りの乙女たちが外の世界に羽ばたいて行くための最後の教えが施される学舎。<BR>
――なんて言えば聞こえはいいのかもしれないけれど、ほんとうに外に飛び出していこうという気概のある生徒は、聖應女学院時代に外部受験を受けて早々にここを去ってしまっている。<BR>
そんな彼女たちと比べてしまえば、なにか明確な目的があってこの短大に進んできた生徒というのはほんの一握りさえも存在しないのではないか。<BR>
気がつけばエスカレータにこんな所まで運ばれていた。<BR>
さしてやりたいことや叶えたいことがあるわけではない。<BR>
大学になんて、通う必然性はどこにもない。<BR>
ただもう少しだけ、この聖應の慣れ親しんだ空気に触れていたいと思っているだけ。<BR>
とろけるくらいに穏やかで、むせ返るほど甘ったるい日々に溶け込んでいたい。<BR>
私たちが、いや、私がここにいる理由なんて、それだけのこと。<BR>
　……だったはずなのに、今では少し、その当時の気持ちが揺らいできているような気がする。<BR>
なんとも名状しがたいこの感情。<BR>
それでもあえて名前を付けるとするならば、それはおそらくこのどうしようもなく穏やかな日々に退屈してしまっているのだろうとそう思った。<BR>
　退屈……か。<BR>
　私は飽いてきてしまっているのだろうか。<BR>
この平和過ぎる日々に。<BR>
　つまらないと、感じてしまっているのか。<BR>
　でも……それはいったい、どうして？　<BR>
「どうしたの、沙世ちゃん。なんだか難しそうな顔をしているよ？」<BR>
　どうして、だろう。どうして私は、こんなにも物足りないと感じているんだろう。<BR>
　だってほら、今のこの瞬間にだって隣には、私の大好きな人がいてくれるのに。<BR>
　初音が、声をかけてくれているのに。<BR>
　どうしてこんなに、満たされない気持ちになってしまうんだろう。<BR>
「初音……ううん、ちょっと考えごとしてただけよ」<BR>
「そうなの？　ずいぶん悩んでいるように見えたんだけど」<BR>
「大したことじゃないの。なんで悩んでいるかもわからないようなこと、だから」<BR>
　自分で言っておきながら、なんだかおかしな言葉だなと思ってくすりと笑った。<BR>
正体不明の感情にいいように悩まされて、振り回されて。まったく自分らしくないな。<BR>
理屈で割り切れないことには相手をしないって、そういうのがずっと貫いてきた私のスタンスじゃなかったっけ。<BR>
　けれどもやはり、この気持ちだけはどうしても無視することができそうにない。<BR>
　今はまだもやもやとしていて掴みようがないけれど、これは決して目を逸らし続けて解決するような感情ではないと、心のどこかでそう思う気持ちがあるのもまた確かなことだったのだ。<BR>
「ごめん、初音。私今日は早めに帰らせてもらうわ」<BR>
「沙世ちゃん……やっぱり調子悪いんじゃあ、」<BR>
「だからそういうのじゃないわよ。少し一人で、考える時間が欲しい……のかしら」<BR>
　私の意味不明な不調のせいで初音に心配をかけるのは忍びない。<BR>
彼女の不安げな顔を見ていることに居た堪れなくなって、私はその場から逃げ出すようにして去り出してしまった。<BR>
まったく情けがないったらありゃしない。<BR>
こんなに弱気な女が昔は生徒会の一員で、あまつさえ一波乱を起こした張本人だなんて、自分のことなのに信じられそうもない。<BR>
「波乱、ね……」<BR>
　もうすっかり初音から遠ざかったところで、ふと私の口から零れてきた言葉はそんなものだった。<BR>
波乱。騒動。あるいは喜劇。<BR>
自分は決して懐古主義な人間ではないとは思うけれど、しかしこの瞬間、私はつい半年前までの出来事を思い返して、“あの頃は楽しかった”と、確かにそう感じていた。<BR>
　やかましくて、忙しくて、それでも充実していた生徒会での日々。<BR>
　そんな生徒会室に飛び込んでくる、ダブル・エルダー絡みの珍事。
　退屈なんて、するはずもなかった。<BR>
　とても、とても楽しかった。<BR>
「今頃は……なにをやっているのかしらね、あの人は」<BR>
　そうやって昔のことに想いを馳せると、必ず目蓋の裏に映し出される顔があった。<BR>
銀の髪の、冷たいひらめき。<BR>
屋上で私に押し迫った時のあのひとみの、底知れない深さ――<BR>

　妃宮　千早<BR>

　私が想起せずにいられないのは、卒業と同時に私たちの前から忽然と姿を消してしまった、完全無欠のエルダーの姿だった。<BR>
　優雅で穏やかな、お嬢様然としたあの笑顔。<BR>
　それと同時に、私というものの本質をはじめて見抜き、そして冷徹に突きつけてきたあのナイフのような態度も、脳裡にありありと蘇ってきてしまって。<BR>
　どうして、そんな人を忘れることができようか。<BR>
　あの人は……彼女は、私にとっての、<BR>
「なんだって、いうのよ……」<BR>
　きっとこの悩みの根源なのだろう、その疑問に対する答えは未だ見つかってはいない。<BR>
唯一答えを教えてくれるかもしれない張本人は、春一番の風にのってあっという間にどこかへと消えてしまったから。<BR>
おなじ寮生だった初音も、彼女とダブル・エルダーを組んでいた七々原さんでさえ、その足取りは知らされていないという。<BR>
突然表れて、学内に数多くの伝説だけを残して去っていった彼女は、今にしてみればまるで幻のような存在だったと、そんなふうにさえ思えてきてしまう。<BR>
　だからこそ私はこんなにか空虚な気持ちでいるのかもしれない。<BR>
それまで私の心をざわつかせ続けてきた存在が忽然となくなって、呆気にとられているのだろうか。<BR>
初音が私に与えてくれるものが変わりない日常の安寧だというのなら、妃宮千早が私にもたらしたものは心休まらない緊張の日々と、聖應の温室の中でぬくぬくと育ってきた私には少しばかり強すぎるぐらいの、いっとう苛烈な刺激だった。<BR>
　一生記憶に焼きついて消えないぐらいに鮮烈で……いっそ、官能的でさえあって。<BR>
　……もう一度、だけ。<BR>
　もう一度だけでいい、あの日胸に抱いた恐怖心と――それと反を成すような得体の知れない高揚感を、今一度感じることが出来たのなら、<BR>
　その時には胸の内でちりちりと燻り続けるこの灯にも、その消し方がわかるのだろうか。<BR>
　……会いたい。<BR>
　会って、私の中に置き残していったこの感情を、ちゃんと処分してもらいたい。<BR>
　こんなに気持ちの悪いことって、ないじゃないか。<BR>
　こんなに、胸の切なくなることなんて。<BR>

　ああ、あの人は今―― ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-17T15:37:31+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://otoboku.novel.wox.cc/entry4.html">
		<link>https://otoboku.novel.wox.cc/entry4.html</link>
		
				
		<title>週背中</title>

		<description>

垂直方向の結合

データセル1


…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <table border="1">
<tr>
<td rowspan="0">垂直方向の結合</td>
</tr>
<tr><td>データセル1</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル2</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル3</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル4</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル5</td>
</tr>
<tr>
<td rowspan="0">垂直方向の結合</td>
</tr>
<tr><td>データセル1</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル2</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル3</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル4</td>
</tr>
<tr>
<td>データセル5</td>
</tr>
<tr>
<td rowspan="0">垂直方向の結合</td>
</tr>
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		<dc:date>2012-07-05T14:36:23+09:00</dc:date>
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		<title>順一地獄の、警備修行研修!</title>

		<description>有る朝の、台風上陸日の 午前の鏑木低での…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 有る朝の、台風上陸日の 午前の鏑木低での出来事!
順一:親父、マジか底へ行けって言うのかよ!
玄造:あぁマジな話だ、之は千早や薫子にも話し合いして決めた事だ。
順一:何で、瑞穂が推薦の完全総合警備保証の アイギス社へ出向するんだよ!
薫子：だって公園で密会の時に、千早に素手で負けたじゃん!
順一：だって千早、流し目使ったろ アレ汚いぞ詐欺だろ！
薫子：千早の耳引っ張る
千早：卑怯な手でも、負けは負けでしてね 諦めて下さいね!
瑞穂：鏑木財閥の、グループの銀行の傘下に入る訳ですから 卑怯千万な手を使う人が居ますからね～!
薫子：居たっけ、損な人居たっけ千早!
千早：居ますよ、御門本家の御門まりや姉さんが居ますし～!
順一：マジか、御門本家に 卑怯千万な手を使う人が居るのかよ!
瑞穂：御門まりやの、酒乱モードね!
玄造:酒飲みの仲間が、増えたじゃね～か!
瑞穂・千早：危ないから、飲ませないで下さいよ～ 玄造さん!
順一：こいつ等二人とも、御門まりやの犠牲者か!
瑞穂・千早：はう！orz
薫子：エルダー2名が、揃って綺麗に入ったわね～!
順一：だらしね～な、２人ともビシットしね～か!
瑞穂：順一さん、アイギスの方へは紹介状と推薦文送って置きましたから！
千早：薫子さん、聖應の寮時の初音さんの 姉の系譜だと分からないのですか!
薫子：甘酒で、初音酔っ払ったよね～!
瑞穂：凄くふわん!
玄造:今度、聖應女学院に 
紫苑:瑞穂さん・千早さん･由佳里さん・奏さん・薫子さん、突然ですが!明日から聖應女学院に、皆揃って臨時教師の以来が着ましたので 梶浦理事長代理から如何しても着て欲しいと 言うので引き受けてしまいました。
瑞穂:マジですか!
千早:損な～我々に、頼まなくても良いのでは 他のOGに他延べ場良いと 思うのですが?
薫子:やな予感が、するわね～!
由佳里:教員に、何か不都合が起きたのですか?

 ]]>
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		<dc:date>2012-07-05T10:26:38+09:00</dc:date>
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		<title>出合い</title>

		<description>それは春休み明けの、最高学年としての1年…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ それは春休み明けの、最高学年としての1年間が始まる日のこと。<BR>
一度乗ってしまったエスカレータのように、何をするわけでもなく、何ができるわけでもなく、<BR>
漠然と過ぎてゆく日々を傍観する私には、それは特筆するような1日ではないはずだった。<BR>
そう。<BR>
彼女と出会う、その瞬間までは。<BR>
といっても。<BR>
教室のドアが開き、彼女が私の目の前に姿を現す。<BR>
その瞬間自体の記録は、私自身の中に何一つ残されていない。<BR>
クラス替えの騒々しい空気に正直辟易していた私には<BR>
話しかけたい相手も見当たらず、話しかけるような気力も持たず、<BR>
ただぼうっと佇んでいただけだったから。<BR>
そして、突如急に静かになった教室の空気にも、<BR>
（ようやく静かになったか‥）などと少しずれたことを考えていた。<BR>
「ご、ご機嫌よう‥、みんな、どうかしたの？」<BR>
静かな空間に響き渡る声は、聞き覚えがあるもので。<BR>
おや？と思い扉に目を向けたことで、私は彼女を見ることになった。<BR>
戸惑いを浮かべた紫色の瞳。<BR>
肩を流れ落ちる柔らかそうな銀の髪。<BR>
微笑みとともに零れる声の響き。<BR>
いや。<BR>
そんな表面上のことではなく。<BR>
私を捕えてしまったのは、彼女の瞳の奥に垣間見えたもの。<BR>
私が囚われてしまったのは。<BR>
この学院生には‥<BR>
いや、私が生まれてこの方、出会った人々からは感じ取ったことのない<BR>
なにかを秘め隠した彼女の眼差しであった。<BR>
正直、自分でも驚くほどに彼女に興味を持ってしまった私は、<BR>
まずは漏れ聞こえる会話から情報収集を始めることにした。<BR>

　今年からの転校生。<BR>
　　薫子さんとおなじく寮から通う立場。<BR>
　　　北欧の血を引くクォーター。<BR>
　　　　母君もこの学院の卒業生。etc...<BR>

彼女を囲む級友の問いかけに丁寧に答えるその声から、<BR>
私の脳内の真っ白なノートに、彼女の情報がどんどん書き加えられていく。<BR>

こんなことを知ってどうするのか、という声が、脳裏に警告として響き渡るが<BR>
やりたいことをしているだけ‥、という別の反論にかき消され。<BR>
まぁ、自分自身でも、自分らしくないことくらいは当然認識していているが。<BR>
微かな自嘲を漂わせつつも、その情報収集をなぜか止めるわけにもいかなかった。<BR>
始業式、ホームルーム、委員決め。<BR>
まぁ毎年繰り返していることだし、私にとってはどうでもいい。<BR>
そこに居さえすれば十分であり、あとは周囲の流れに身を任せるだけ。<BR>
その間、私はずっと１つの想いを抱えこんでいた。<BR>
そう。<BR>
これから私はどうすればいいのか、と。<BR> 

　話しかけたい。<BR>
　彼女のことが知りたい。<BR>
　彼女と同じ時間を過ごしたい。<BR>

その想いは薄れる気配は欠片もなく。<BR>
 いや。<BR>
時が過ぎるにつれ、欲求は高まるばかりであった。<BR>

それを実現させるには‥と、たいして賢くもないこの頭がひねり出した解答といえば。<BR>
幸運なことに、1年の時以来の知人である薫子さんと彼女は親しくしているようで、<BR>
その線からアプローチするのが、もっとも自然かつ私にとっても負担の少ない案だと思えた。<BR>

だがしかし。<BR>
そのような思考の渦からようやく浮かび上がり<BR>
ゆっくりとクラスを見回した私は、迂闊にもターゲットをロストしていることに気付いた。<BR>
慌てた視線で机をチェックすると、二人の鞄はまだ机に置いてあり。<BR>
学院の案内でもしているのだろうかと、自分なりの推論に納得する。<BR>

入れ違いになる懸念はあったが、このまま帰りを待ち続けるのも芸がないと考え、
あまり遠出しない範囲で多少時間を潰すことにし、私はクラスを後にした。


何を聞こう。
なにを話そう。

取り留めもない考えを脳裏で揺らせながらしばらく時間を潰し、
そろそろ頃合いかと、クラスに戻ろうとしたとき。
ちょうど、何人かの級友が扉から出てきて、
私の姿を見ると頬を染め、廊下の隅に寄ってから会釈をしてくる。

こちらも軽く頭を下げ、通り過ぎたとき。
彼女らの声が小さく聞こえてきた。

「本当、妃宮さんもそうですけれど。
　騎士の君、茉清様。素敵な方々と一緒のクラスに慣れてよかったですわね。」
「えぇ、本当に。。」

そこで妃宮さんの名前が挙がるということは、
もしかしたらクラスに戻っているのかもしれない。
そんなことを考えつつ、静かに教室に踏みいれたその瞬間。


　「誰かに、嘘だっていってほしい‥。」


そんな声が私の耳朶に触れた。


「嘘よ」
「！？」

その声に、つい反射的な応えを返してしまいながらも
あぁ、前にも同じようなことがあったような‥、などと別のことを考えていた私は。
振り向き視線をあげた彼女と、今日はじめて視線を交わし合うことになった。
驚きに丸く見開いたその紫の瞳はやはりとても印象的で。
今日一日の印象とはほど遠い、どこか幼く隙だらけの表情に思わず笑みをこぼしてしまう。

「ふふっ‥。

　懐かしい。
　ずっと以前に、こんなやりとりをした覚えがある。」

脳内でいろいろシミュレートしていた会話のとっかかり。
それらがすべてご破算になってしまったため、
時間稼ぎというわけではないが、さきほどの思いつきをそのまま吐露してみる。

「えっ‥？」
「‥‥やっぱり別世界に見えるんだろうね。この学院の中は。」
「‥えぇ、それは間違いのないところです。」

2年前の経験から。
彼女の最初の発言を、私は正しく受け止めることができていたらしい。
あぁ、薫子さん。2年前のあなたに深い感謝を。

「私は真行寺茉清。よろしく。」
「あ、私は‥。」
「妃宮千早さんだね。大変な人気だったからさすがに覚えた。」

そういうと彼女は困ったような笑顔を見せる。

その笑みに見惚れてしまいそうになりつつも、
内心と裏腹にポーカーフェイスを貫き通せる自分の性格が今日ばかりはなんとも心強い。

「はい、よろしくお願いいたします。」

そう言葉を返してくれる彼女にそっと右手を差し出すと。<BR>
軽やかな笑みを浮かべ、優しく握り返してくれた。<BR>
その手は少し冷たくて。それは彼女の雰囲気にとても馴染む気がした。<BR>

<BR>

その後は。<BR>
少し昔話を口にしたタイミングで薫子さんが登場し。<BR>
それからも少し会話を交わすことができた。<BR>

そろそろ帰ろうという話になったため。<BR>

「妃宮さん。
　今日は話せて楽しかった。これからもよろしく。」<BR>
「えぇ‥こちらこそよろしくお願いします。」<BR>
「へぇー。茉清さんが珍しい‥。」

彼女の前で変なことをいうのはやめてほしい。<BR>

「そうなのですか？」<BR>
「いやー、そうでもないかな？ んー。どうだろう？
　なにせ茉清さんは入学早々にあたしと友達になるような、なんとも独特な人だから。」<BR>
「それはなんとも失礼ね。
　私にとっても、あなた自身にとっても。」<BR>
「いやまぁ、ほら。あたしだし。」<BR>

そういって笑う薫子さんを呆れたように見ていると、ちょうど彼女と視線が合い。
そして同じタイミングでくすりと微笑むことができた。少し嬉しい。
よし。先ほどの発言はいまのでチャラにしてあげよう。

昇降口。<BR>
並木道。
取り留めもない会話をやりとりしながら
夕焼けの暖かな橙色の中を肩を並べて歩き。<BR>

寮への道へと分かれるあたりで、2人に別れを告げる。<BR>

「じゃあ、私はこれで。」<BR>
「うん。茉清さん、また明日ねー。」<BR>
「茉清さん。今日はいろいろありがとうございました。」<BR>
「こちらこそ。いろいろ話ができてよかった。　それじゃ。」<BR>
気軽に手を振る薫子さんと、微笑み、軽く会釈をする彼女。<BR>
きっと彼女はしばらくの間、見送ってくれるのだろう。<BR>
と勝手に思い込むことにして、私は振り返りもせずに校門へ歩いていった。<BR>
明日からの学院生活は、今までにないほど楽しくなるであろうという確信を心に秘めて。<BR> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-07-03T08:55:47+09:00</dc:date>
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		<title>プロデュース　１月４日～８日までの出来事偏」！</title>

		<description>

キャラクター台詞

冬休みに入り、…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <table border="1">
<tr>
<td rowspan="0">キャラクター</td><td>台詞</td>
</tr>
<tr><td></td><td>冬休みに入り、千早が学院の寮から自宅に帰省して数日たったある日、一人の女性が訪問して妙子と相談事をしていた。</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「そういうわけで千早ちゃんに御門家代表としてがんばって欲しいのです」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門妙子</td><td>「そうだわね。<BR>千早ちゃんは美人さんだから出てくるだけで大盛り上がりでしょうし、それにあの子は器用で何でも出来る子だから大丈夫だと思うわ」
</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「妙子叔母さま、承諾していただきありがとうございます。<BR>後はこの私にお任せください。<BR>御門家代表として決して恥じないものにしてさしあげますから……」</td>
</tr>
<tr>
<td></td><td>女性は妙子の承諾を得ると小悪魔的な笑みを浮かべて感謝の言葉を述べる。<BR>しかし人の良い妙子はそれに気づいていないようである。</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「それでは早速、演目の相談の方を千早ちゃんとして参りますわ」</td>
</tr>
<tr><td>御門妙子</td><td>「あっ、それなら史に呼んできてもらうわ」</td>
</tr>
<tr>
<td></td><td>妙子はそう云うとちょうどコーヒーを下げるためにリビングに入ってきた史に千早を呼ぶようにことづける。<BR>そして呼ばれた千早がリビングに入ると</td>
</tr>
<tr>
<td>御門千早</td><td>「げっ、まりや　お従姉さん！」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「『げっ』とはなによ、『げっ』とは！」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門千早</td><td>「いやっ、その……かなり久しぶりにお会いしたのでびっくりしただけです」</td>
</tr>
<tr>
<td></td><td>千早にとって強気でお調子者、そして悪戯好きであるまりやは苦手な存在である。<BR>幸い今まではあまり接点がなかったこともあってこれといった被害は受けた
 ことがなかったが、今は女装して聖應女学院に通う身である。<BR>そのことはおそらくまりやの耳に入っているだろうし、そのことでどんな仕打ちを受けるかと思うと<BR>千早は背中に冷たいものが流れ出てくるのであった。</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「今度のお正月に千早ちゃんには人肌脱いでもらいたいの！」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門千早</td><td>「えっ？」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「まぁ、詳しい話は史ちゃんの部屋で」</td>
</tr>
<tr>
<td></td><td>まりやはそう云うとなかば強引に千早を史の部屋に連れて行ったのである。<BR> 史は自分の部屋にまりやと千早を招き入れるとまずパソコンの電源を入れ、二人のお茶を用意する。<BR>その史が淹れた紅茶を一口飲んだところでまりやがきりだす。
</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「実はね、今度のお正月に久しぶりに鏑木家のお屋敷で親戚一同が大集結して新年会をやることになったの。<BR>そしてメインイベントとして一族対抗かくし芸大会をすることにったわけ。<BR>そこで千早ちゃんには御門家代表としてがんばって欲しいわけ」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門千早</td><td>「えっ、どうして僕が？」</td>
</tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「それはね、鏑木家代表があの瑞穂ちゃんなのよ。そうなると目には目よ、歯には歯よ！だわ」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門千早</td><td>「えっ、僕が瑞穂さんと戦うのですかっ！そんなの無理ですよ。<BR>だって僕は小さいの頃から瑞穂さんの方が出来るなどと親戚連中から比較されて蔑まされてきた身なのですから」
</td>
</tr>
<tr>
<td></td><td>瑞穂の名が出ると千早は動揺の色を隠せないでいたが、まりやはなおも強気に主張を続ける。</td>
</tr>
<tr>
<td>御門まりや</td><td>「小さい頃の三つ違いはかなり大きいのだから気にする必要はないのじゃないかな。<BR>それに噂に聞いたところによると千早ちゃんも『エルダー』に選出されたそうじゃない。<BR>もっと自分に自信を持とうよ！」</td>
</tr>
<tr>
<td>御門千早</td><td>「でも話に聞いたところによると瑞穂さんは80%以上の得票率を得て一発で『エルダー』に選出されたのに対して<BR>僕は票の譲渡が行われたうえに二人がかりで『エルダー』を務めていますらね<BR> 格が違いますよ」</td>
</tr>
<tr>
<td></td><td>千早の弱気な発言にまりやはしびれをきらしたのかソファーから立ち上がり手にこぶしを握り締めるときっぱりと云う。
</td>
</tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「千早ちゃん、そんなに弱気でどうするの！<br>今度の戦いはね、千早ちゃんだけではなく、私のプライドも掛かっているのよ。<BR>楓さんに聞いたところによると瑞穂ちゃんのプロデュースはあの貴子なのよ。<BR>今度という今度は絶対に負けられないのだから！」<BR></td></tr>
<tr><td></td><td>まりやはそう云うと握りしめていた手を千早に向けるのであった。</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「とっ、ところで……貴子さんって誰の事ですか……」</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「えっ、千早ちゃんは貴子の事を知らないの……」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「すっ、すいません。ほとんど親戚づきあいをしていないもので……」</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>まりやは千早に貴子は瑞穂の社長室長であると言う事と其れまでの経緯を説明する。</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「と言う事で貴子と私は因縁の仲なのよ。絶対に負けられないのだから……」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「でもなんでそんなことに僕まで巻き込まれなくちゃならないのですか……」</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「千早ちゃんだって瑞穂ちゃんに対する劣等感を克服する良い機会じゃない」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「でも……」</td></tr>
<tr><td></td><td>しかし結局、千早はまりやの強引な説得にしぶしぶ承諾したのであった。</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「史ちゃんには事前に連絡をしておいて、かくし芸のネタを考えてもらっているの。<BR>それじゃ史ちゃんよろしくね」<BR></td></tr>
<tr><td>史</td><td>「はい、かしこまりました。まりやさま」</td></tr>
<tr><td></td><td>史はそう云うとパソコンを操作し『かくし芸』と書かれたファイルを開ける。</td></tr>
<tr><td>史</td><td>「こんなのはいかがでしょうか。<BR>これは千早さまが生まれるちょっと前に 大ヒットしたテレビアニメです」</td></tr>
<tr><td></td><td>そう云って史がファイルをクリックするとモニターにはアニメの動画が 流れ出す。<BR>それはどうやら野球を題材にした青春恋愛もののようである。<BR></td></tr>
<tr><td>史</td><td>「千早さまにやっていただきたいのはここからのシーンです」</td></tr>
<tr><td></td><td>モニターを見るとこのアニメのヒロインらしき人がレオタード姿で新体操の 
リボンの演技をやっている。</td></tr>
<tr><td>史</td><td>「千早さまはお美しいですし、新体操の演技の一つぐらいは覚えるのは 
容易いかと」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「でも史、新体操の演技はともかく僕にどうやってレオタードを穿けと
いうのだい？」</td></tr>
<tr><td>史</td><td>「えっ、千早さまならレオタード姿がお似合いと思ったのですが……」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「そんなの無理に決まっているでしょう……それにこのアニメのパロディー
を最近になって女性芸人がやっていたような気がするんだけど、確か『浅倉南38歳』とか云って……」</td></tr>
<tr><td>史</td><td>「えっ、このネタを先に思いついた方がいらっしゃったのですか……」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「史は自分が生まれる前のアニメのことは知っているくせに最近のテレビの 
ことは知らないんだね」</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「私も千早ちゃんのレオタード姿がみたかったな……」</td></tr>
<tr><td></td><td>まりやは残念そうな声をあげるが千早が大反対するので史は次のネタ候補
というファイルをクリックする。</td></tr>
<tr><td>史</td><td>「これは確か妙子さまが青春時代の頃に社会反響を呼んだTVCMです」</td></tr>
<tr><td>データセル5</td><td>垂直方向の結合</td></tr>
<tr><td>データセル1</td><td>データセル2</td></tr>
<tr><td>データセル1</td><td>データセル2</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「だから……史、レオタードが無理なのにビキニなんかもっと無理に決まっているだろう……」</td></tr>
<tr><td>史</td><td>「そうですか、千早さまの美貌なら大受けかと思ったのですが……」</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「ははっ……そういえば千早ちゃんは学院のプールの時間とかどうしていたのかな？」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>データセル4</td></tr>
<tr><td>御門まりや</td><td>「それだったらビキニだって穿けるはずじゃない」</td></tr>
<tr><td>御門千早</td><td>「いやっ、それはその……あの時はどうにかなったのですが……今度同じ事をやれといわれても出来ない手段なもので……」</td></tr>
<tr><td>データセル3</td><td>データセル4</td></tr>
<tr><td>データセル5</td><td>垂直方向の結合</td></tr>
<tr><td>データセル1</td><td>データセル2</td></tr>
<tr><td>データセル3</td><td>データセル4</td></tr>
<tr><td>データセル5</td><td>垂直方向の結合</td></tr>
<tr><td>データセル1</td><td>データセル2</td></tr>
<tr><td>データセル3</td><td>データセル3</td></tr>
<tr><td>データセル4</td><td>データセル5</td></tr>
<tr><td rowspan="0">垂直方向の結合</td><td>「千早ちゃん、腰の振り方が甘い！」</td></tr>
<tr><td>データセル2</td><td>「千早さま、恥ずかしがらずに堂々と！」</td></tr>
<tr><td>データセル4</td><td>「はっ、はい…………とほほ…………orz」</td></tr>
</table>











史がそう云うと動画とともにノリの良い音楽が流れる。

～♪いまのキミはピカピカに光って……♪～

そのフレーズにのせて清純そうな女性が木陰ではにかみながらTシャツと
Gパンを脱ぎ、ビキニ姿になるというものである。

「だから……史、レオタードが無理なのにビキニなんかもっと無理に決まって
いるだろう……」
「そうですか、千早さまの美貌なら大受けかと思ったのですが……」
「ははっ……そういえば千早ちゃんは学院のプールの時間とかどうしていた
のかな？」
「えっ！！それはまぁ……どうにかして出席しましたけど」
「それだったらビキニだって穿けるはずじゃない」
「いやっ、それはその……あの時はどうにかなったのですが……今度同じ
事をやれといわれても出来ない手段なもので……」

まりやの追及にその時は千歳に憑依されて女体化していましたとは云えないので
どうにかして誤魔化す千早である。
結局、このネタも千早が猛烈に反対するので史がしょうがないといった感じで
次のファイルをクリックする。

「これは妙子さまが子供の頃に大ヒットしたお笑い番組です。なにせこの番組
を見ていなかったら学校で仲間外れされるというほどの番組だったと史は
聞いております」

史がそう云うとモニターには今も現役で活躍しているコメディアンの若い
頃の姿があった。

「今度は一丁目いってみようか」

コメディアンはそう云って、着ていたはっぴを脱ぐとそこにはバレエ
「白鳥の湖」のコスチュームをパロディー化したものを身にまとっていた。

「いっちょめ、いっちょめ、ワーオ！いっちょめ、いっちょめ、ワーオ！」

コメディアンは股間に括り付けた白鳥を揺らしながら奇怪な声で独特な
フレーズを叫んでいる。

「千早さま、これなら股間を白鳥の小道具で隠せますので問題ないかと」
「あのね、史。さっきからなんで僕に変な衣装を着させようとしている
かい……」
「千早さまは自分の長所に気づいておりません。千早さまのその容姿だから
こそ、このような芸をされると大受けするのではないかと史は思うのです」
「だいたいこんな変なことをしなくとも普通に料理だとかピアノ演奏を
すれば良いじゃないか」

千早が史の提案に不機嫌そうに対応しているとそこへまりやが割って入る。

「駄目よ！そんな普通のことをしたってインパクトがないわ。だって相手は
あの瑞穂ちゃんなのよ。これぐらいのことをしないと勝てないって千早ちゃん
だって知っているでしょう」
「だからといってこんな変な芸をするのはどうかと思うのですが……第一、
下品ですし」
「下品なのが嫌なのならさっきの宮崎○子のCMでも良いわよ」
「それはもっと……」
「だったら今の白鳥の湖の芸でいくわよ」
「えっ！どうしてもそれをやらないといけないのですか……」
「当たり前じゃない。さぁ男だったらぐじゅぐじゅしないでやる！」
「そういう時だけ男扱いですか……」

そのあと、年末までまりやと史の監視のもとに千早は白鳥の湖の芸の練習
に励むのであった。


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