キャラクター台詞
冬休みに入り、千早が学院の寮から自宅に帰省して数日たったある日、一人の女性が訪問して妙子と相談事をしていた。
御門まりや「そういうわけで千早ちゃんに御門家代表としてがんばって欲しいのです」
御門妙子「そうだわね。
千早ちゃんは美人さんだから出てくるだけで大盛り上がりでしょうし、それにあの子は器用で何でも出来る子だから大丈夫だと思うわ」
御門まりや「妙子叔母さま、承諾していただきありがとうございます。
後はこの私にお任せください。
御門家代表として決して恥じないものにしてさしあげますから……」
女性は妙子の承諾を得ると小悪魔的な笑みを浮かべて感謝の言葉を述べる。
しかし人の良い妙子はそれに気づいていないようである。
御門まりや「それでは早速、演目の相談の方を千早ちゃんとして参りますわ」
御門妙子「あっ、それなら史に呼んできてもらうわ」
妙子はそう云うとちょうどコーヒーを下げるためにリビングに入ってきた史に千早を呼ぶようにことづける。
そして呼ばれた千早がリビングに入ると
御門千早「げっ、まりや お従姉さん!」
御門まりや「『げっ』とはなによ、『げっ』とは!」
御門千早「いやっ、その……かなり久しぶりにお会いしたのでびっくりしただけです」
千早にとって強気でお調子者、そして悪戯好きであるまりやは苦手な存在である。
幸い今まではあまり接点がなかったこともあってこれといった被害は受けた
ことがなかったが、今は女装して聖應女学院に通う身である。
そのことはおそらくまりやの耳に入っているだろうし、そのことでどんな仕打ちを受けるかと思うと
千早は背中に冷たいものが流れ出てくるのであった。
御門まりや「今度のお正月に千早ちゃんには人肌脱いでもらいたいの!」
御門千早「えっ?」
御門まりや「まぁ、詳しい話は史ちゃんの部屋で」
まりやはそう云うとなかば強引に千早を史の部屋に連れて行ったのである。
史は自分の部屋にまりやと千早を招き入れるとまずパソコンの電源を入れ、二人のお茶を用意する。
その史が淹れた紅茶を一口飲んだところでまりやがきりだす。
御門まりや「実はね、今度のお正月に久しぶりに鏑木家のお屋敷で親戚一同が大集結して新年会をやることになったの。
そしてメインイベントとして一族対抗かくし芸大会をすることにったわけ。
そこで千早ちゃんには御門家代表としてがんばって欲しいわけ」
御門千早「えっ、どうして僕が?」
御門まりや「それはね、鏑木家代表があの瑞穂ちゃんなのよ。そうなると目には目よ、歯には歯よ!だわ」
御門千早「えっ、僕が瑞穂さんと戦うのですかっ!そんなの無理ですよ。
だって僕は小さいの頃から瑞穂さんの方が出来るなどと親戚連中から比較されて蔑まされてきた身なのですから」
瑞穂の名が出ると千早は動揺の色を隠せないでいたが、まりやはなおも強気に主張を続ける。
御門まりや「小さい頃の三つ違いはかなり大きいのだから気にする必要はないのじゃないかな。
それに噂に聞いたところによると千早ちゃんも『エルダー』に選出されたそうじゃない。
もっと自分に自信を持とうよ!」
御門千早「でも話に聞いたところによると瑞穂さんは80%以上の得票率を得て一発で『エルダー』に選出されたのに対して
僕は票の譲渡が行われたうえに二人がかりで『エルダー』を務めていますらね
格が違いますよ」
千早の弱気な発言にまりやはしびれをきらしたのかソファーから立ち上がり手にこぶしを握り締めるときっぱりと云う。
御門まりや「千早ちゃん、そんなに弱気でどうするの!
今度の戦いはね、千早ちゃんだけではなく、私のプライドも掛かっているのよ。
楓さんに聞いたところによると瑞穂ちゃんのプロデュースはあの貴子なのよ。
今度という今度は絶対に負けられないのだから!」
まりやはそう云うと握りしめていた手を千早に向けるのであった。
御門千早「とっ、ところで……貴子さんって誰の事ですか……」
御門まりや「えっ、千早ちゃんは貴子の事を知らないの……」
御門千早「すっ、すいません。ほとんど親戚づきあいをしていないもので……」
御門まりやまりやは千早に貴子は瑞穂の社長室長であると言う事と其れまでの経緯を説明する。
御門まりや「と言う事で貴子と私は因縁の仲なのよ。絶対に負けられないのだから……」
御門千早「でもなんでそんなことに僕まで巻き込まれなくちゃならないのですか……」
御門まりや「千早ちゃんだって瑞穂ちゃんに対する劣等感を克服する良い機会じゃない」
御門千早「でも……」
しかし結局、千早はまりやの強引な説得にしぶしぶ承諾したのであった。
御門まりや「史ちゃんには事前に連絡をしておいて、かくし芸のネタを考えてもらっているの。
それじゃ史ちゃんよろしくね」
「はい、かしこまりました。まりやさま」
史はそう云うとパソコンを操作し『かくし芸』と書かれたファイルを開ける。
「こんなのはいかがでしょうか。
これは千早さまが生まれるちょっと前に 大ヒットしたテレビアニメです」
そう云って史がファイルをクリックするとモニターにはアニメの動画が 流れ出す。
それはどうやら野球を題材にした青春恋愛もののようである。
「千早さまにやっていただきたいのはここからのシーンです」
モニターを見るとこのアニメのヒロインらしき人がレオタード姿で新体操の
リボンの演技をやっている。
「千早さまはお美しいですし、新体操の演技の一つぐらいは覚えるのは
容易いかと」
御門千早「でも史、新体操の演技はともかく僕にどうやってレオタードを穿けと
いうのだい?」
「えっ、千早さまならレオタード姿がお似合いと思ったのですが……」
御門千早「そんなの無理に決まっているでしょう……それにこのアニメのパロディー
を最近になって女性芸人がやっていたような気がするんだけど、確か『浅倉南38歳』とか云って……」
「えっ、このネタを先に思いついた方がいらっしゃったのですか……」
御門千早「史は自分が生まれる前のアニメのことは知っているくせに最近のテレビの
ことは知らないんだね」
御門まりや「私も千早ちゃんのレオタード姿がみたかったな……」
まりやは残念そうな声をあげるが千早が大反対するので史は次のネタ候補
というファイルをクリックする。
「これは確か妙子さまが青春時代の頃に社会反響を呼んだTVCMです」
データセル5垂直方向の結合
データセル1データセル2
データセル1データセル2
御門千早「だから……史、レオタードが無理なのにビキニなんかもっと無理に決まっているだろう……」
「そうですか、千早さまの美貌なら大受けかと思ったのですが……」
御門まりや「ははっ……そういえば千早ちゃんは学院のプールの時間とかどうしていたのかな?」
御門千早データセル4
御門まりや「それだったらビキニだって穿けるはずじゃない」
御門千早「いやっ、それはその……あの時はどうにかなったのですが……今度同じ事をやれといわれても出来ない手段なもので……」
データセル3データセル4
データセル5垂直方向の結合
データセル1データセル2
データセル3データセル4
データセル5垂直方向の結合
データセル1データセル2
データセル3データセル3
データセル4データセル5
垂直方向の結合「千早ちゃん、腰の振り方が甘い!」
データセル2「千早さま、恥ずかしがらずに堂々と!」
データセル4「はっ、はい…………とほほ…………orz」












史がそう云うと動画とともにノリの良い音楽が流れる。

~♪いまのキミはピカピカに光って……♪~

そのフレーズにのせて清純そうな女性が木陰ではにかみながらTシャツと
Gパンを脱ぎ、ビキニ姿になるというものである。

「だから……史、レオタードが無理なのにビキニなんかもっと無理に決まって
いるだろう……」
「そうですか、千早さまの美貌なら大受けかと思ったのですが……」
「ははっ……そういえば千早ちゃんは学院のプールの時間とかどうしていた
のかな?」
「えっ!!それはまぁ……どうにかして出席しましたけど」
「それだったらビキニだって穿けるはずじゃない」
「いやっ、それはその……あの時はどうにかなったのですが……今度同じ
事をやれといわれても出来ない手段なもので……」

まりやの追及にその時は千歳に憑依されて女体化していましたとは云えないので
どうにかして誤魔化す千早である。
結局、このネタも千早が猛烈に反対するので史がしょうがないといった感じで
次のファイルをクリックする。

「これは妙子さまが子供の頃に大ヒットしたお笑い番組です。なにせこの番組
を見ていなかったら学校で仲間外れされるというほどの番組だったと史は
聞いております」

史がそう云うとモニターには今も現役で活躍しているコメディアンの若い
頃の姿があった。

「今度は一丁目いってみようか」

コメディアンはそう云って、着ていたはっぴを脱ぐとそこにはバレエ
「白鳥の湖」のコスチュームをパロディー化したものを身にまとっていた。

「いっちょめ、いっちょめ、ワーオ!いっちょめ、いっちょめ、ワーオ!」

コメディアンは股間に括り付けた白鳥を揺らしながら奇怪な声で独特な
フレーズを叫んでいる。

「千早さま、これなら股間を白鳥の小道具で隠せますので問題ないかと」
「あのね、史。さっきからなんで僕に変な衣装を着させようとしている
かい……」
「千早さまは自分の長所に気づいておりません。千早さまのその容姿だから
こそ、このような芸をされると大受けするのではないかと史は思うのです」
「だいたいこんな変なことをしなくとも普通に料理だとかピアノ演奏を
すれば良いじゃないか」

千早が史の提案に不機嫌そうに対応しているとそこへまりやが割って入る。

「駄目よ!そんな普通のことをしたってインパクトがないわ。だって相手は
あの瑞穂ちゃんなのよ。これぐらいのことをしないと勝てないって千早ちゃん
だって知っているでしょう」
「だからといってこんな変な芸をするのはどうかと思うのですが……第一、
下品ですし」
「下品なのが嫌なのならさっきの宮崎○子のCMでも良いわよ」
「それはもっと……」
「だったら今の白鳥の湖の芸でいくわよ」
「えっ!どうしてもそれをやらないといけないのですか……」
「当たり前じゃない。さぁ男だったらぐじゅぐじゅしないでやる!」
「そういう時だけ男扱いですか……」

そのあと、年末までまりやと史の監視のもとに千早は白鳥の湖の芸の練習
に励むのであった。


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